こんにちは、まろです。
ジャグリングの技を練習して、そろそろ演技を作ってみたい、でもその考え方が分からず中々演技作りが進まない、そういったジャグラーのための考え方とコツをお伝えします。
1.最初に決めておきたいこと
・演技の雰囲気
これは演じるキャラクターに通じる部分ですが、最初からキャラクターを考えるというのは難しいかもしれないので、まずは「こんな雰囲気の演技をしたい」ということを決めることです。
例えばですが雰囲気の例として「明るい」「きれい」「楽しい」「力強い」「神秘的」、よりイメージの湧く例として「ラスベガスショーのような華やかさ」「現代サーカス系の演劇的な雰囲気」などがあります。
これは自分の好きなショー、ジャグラーの演技などを参考にすればいろいろとイメージがつかめると思います。
雰囲気が決まればざっくりとした演技作りの方向性が決まります。
・演技で使う曲を決める
作りたい演技の雰囲気が決まれば、その雰囲気に合った曲を探していきます。
これはもうそのままです。明るい曲、きれいな曲、楽しい曲…
もし初めて演技を作るならまずは3分前後の曲がバランスが良いと思います。
長すぎると間を埋めるのが大変だし、短すぎると観客に印象を残すことが難しい。
もし使いたい曲が5分、10分など長い曲で、自分の演技に合わない場合は曲を編集するか、または使いたい部分を中心にフェードイン、フェードアウトで曲を使うことになります。
曲編集のやり方については今回は割愛しますが、Windowsの無料曲編集ソフトだったらaudacityが使いやすいと思います。Mac、スマホ、それぞれの環境で使える曲編集ソフトは色々あるので調べてみてください。
2.書き出しておきたいこと
演技の方向性が決まったら、自分が持っている技術の中で本番に使えること、使いたいことを書き出していきます。
具体的には
- 安心して使えるジャグリングの技
- ある程度できていて本番までには安定しそうな技
- 10回中7回は成功できる、挑戦したい大技
- アクロバット、ダンスなど、ジャグリング以外に使いたい特技
まずは自分が持っている技術の中で本番で使えるものを全部書き出してみるということですね。その中から本番に使う技を選んでいく。
この数が10個以下とか非常に少ない場合は、必然的に演技で使う曲も短くした方が良いです。
ベストは選びきれないくらい沢山の技、要素があるという状態ですが、初めて演技を作る場合はなかなかそうはいかないと思います。
1~4を書き出したら、その中からさらに決めポーズなどに向く技、拍手をもらえそうな技、自分の技リストの中で難易度が高い技を選んでいきます。
3.起承転結に当てはめる
この時点で演技の雰囲気と曲、本番で使える技が揃ったと思います。
今度はそれを起承転結に当てはめていきます。
イメージとしては
- 起=ステージへの登場の仕方、どんな雰囲気のショーをするかを見せる
- 承=ジャグリングをスタートする
- 転=演技のテンポ、雰囲気を変える
- 結=フィナーレ、しっかり拍手をもらえる終わり方をする
というイメージです。
さらに起承転結のそれぞれにも、小さい起承転結があります。
以下にとりあえずの雛形ですが、このような構成で考えれば演技としてはまとまるという形を示します。
・起
演技の方向性により、ステージへの登場の仕方を決める。
道具は既に置いてあるのか、手に持って出てくるのか。
自分がステージに立ってポーズを取ったところから曲が始まるのか、曲が始まってからステージに出てくるのか。
登場自体もショースタイルなのか、より演劇的なジャグリングなのかで変わります。
ショースタイルならベストはステージに登場しただけで拍手をもらえるような状況、立ち方。例えば曲と一緒に登場しながら腕を広げ、客席全体に視線を送り、ステージセンターで一礼をしてから演技を始める。つまり「ジャグリングショーをする人」という登場の仕方です。
この場合はここでもう起は終わり、ジャグリングスタート=承に入っていきます。
シンプルなので初めてジャグリングの演技を作る人はこのやり方が作りやすいと思います。
逆に演劇的な要素をもった起の場合はジャグリングをやる人ですよ、という登場ではなく、「この人は何をするんだろう?」と観客が興味を持つような状態がベストです。
そしてそもそも「なぜステージに登場するのかというキャラクターとしての動機」「道具の発見の仕方」「道具との関係性、道具へのアプローチ」などを作る必要があります。
この辺については直接会わずに文章で伝えるのは大変なので、以上に挙げたようなことをヒントに考えてみてください。
今回はショースタイルの演技の作り方について例を挙げていきます。観客があなたの演技の雰囲気やキャラクターをつかんだところで「承」、実際のジャグリングを始めていきます。
・承
承-起:「インパクトのある技、拍手をもらえるスタート技」これをすることで観客から「この人はしっかりとした技を持っている見るに値する人だな」という信頼を得たいところです。
承-承:「20秒程度の技の流れ、シークエンス」この20秒の終わりに拍手をもらえるようなポーズ。
承-転:「先ほどとは違う系統の流れ、シークエンス15秒」例えば承-承が一つ一つ個別の技を見せていくような流れだったら、ここは全ての技が混ざり合うようなスタイルとか、ボディスローを取り入れた流れなど。
承-結:「早めのテンポや技の連続、終わりに拍手をもらえる技」ここのシメにはリストアップしておいた大技から1つ適当なものを選んで配置します。
※ここまでを「承1」として、同じような考え方で「承2」を作ることもおすすめします。これは曲の長さや持っている技のバリエーションによります。
歌で言えばAメロ、Bメロといったところです。
道具の数を増やすとか、また違う技のバリエーションを見せていくとか。
今回は「承2」は省略して「転」に進みます。
・転
承とは全く違う系統の技、動きを使っていきます。同じテンポ、系統の技が続くことはイコール観客が次に何が起こるのか予測できてしまう演技ということです。
つまり間延びしたり飽きてしまう。
そこでもう一度観客の注意を引き付けられるように「転」を作っていきます。ただしここが長すぎるとせっかく「承1」「承2」で作った盛り上がり、雰囲気を冷ましてしまうことにもなるので、あくまでも演技の中のアクセントとして短めに考えます。
おすすめはトスジャグリングではなくマニピュレーション系、
- バランス
- コンタクトジャグリング
- レゴ、リストトラップ
- リングのロール系、身体へのひっかけ系
- 身体能力や他のジャンルの特技があればそれを取り入れる
などです。
目安としては20秒以内くらいでしょうか。
マニピュレーション系とはいえ最後に拍手をもらえるようなポーズを入れる。
その拍手から「結」につなげるための期待感のある動きをする。
分かりやすいのは「もう1個の道具をはっきりと示しながら手に取る」
・結
結-起:演技のフィナーレ、「転」から一気にテンポを切り替える技でスタートする。例えば
- マルチプレックスからのスタート
- キックアップスタート
- 1個ハイスローからのスタート
- 1個ハイスローにスピンを組み合わせてスタート
などです。
結-承:リストアップした技の中からできれば3つくらいを選んで、最後に拍手をもらえる形でポーズを取ります。例えばネックキャッチやスピンしてキャッチ、キャッチしてからターンをしてポーズなどです。
結-転:結ー承で終わっても良いのですが、まだ技がある人は一度拍手をもらってから、さらに道具を増やす、または観客を見渡してから最後の大技に入ります。
ここで観客のあ、さらに大技があるのかという気持ちや期待感につなげることができます。
結ー結:身内の発表やジャグリングフェスティバルなど、状況が許せばここで「10回中7回は成功できる挑戦したい大技」を入れます。そうでなければ安心してできる技の中から一番拍手をもらえる技。
ここは挑戦である以上失敗しても3トライ目くらいまでに決めきりたいところです。
技が決まったらしっかり観客に向かって3秒以上ポーズをとる。
拍手を受けながらゆっくりとステージを降ります。
実はここがかなり大切な部分で、途中で失敗があったり人前に立つことに慣れていないと、曖昧なポーズになったりしっかり観客を見られなかったり、ステージから逃げるように帰ってしまったりします。
これではせっかくの演技が台無しです。
ステージに登場した時の堂々とした振る舞いが、観客との信頼関係を作り、最後までしっかりと振る舞うことで、あ、この人はしっかりやりきったんだな、と満足してもらうことができます。
4.最後に
- 以上はあくまで例であり、演技作りというのは型にはめていくようなものではないのですが、この流れ通りに考えていけば初心者でもある程度バランスの良い演技が作れると思います。
まずは演技作りの型を覚え、そこからさらに
- キャラクター作り、演技
- 演技構成、ストーリー
- 舞台上の位置取り、移動
- 身体の使い方
- 観客の視線のコントロール
- 音楽との一致
- 客席全体に届くエネルギー
- 意外性、心地よく期待を裏切っていく構成
- 独自性、アイデア
- より高度な技術、コンビネーション
などを取り入れられるようにしていくと、きっとどんなステージでも通用する演技を作ることができるようになっていきます。
この記事があなたのジャグラーとしての演技作りのヒントになれば嬉しいです。