こんにちは、まろです。
だれでも人前に立つ、本番のステージに立つと緊張してしまうことがあります。
日常とはちがう状況、人の視線がある状況なので、緊張するのは自然なことです。
ただその緊張がおおきすぎて、普段できることがまったくできなくなるなら対処が必要です。
僕は役者として人前に立って30年、プロジャグラーとして20年間、かぞえきれないほど人前に立ってきました。
僕が本番の緊張と30年向きあってきた経験から、人前で緊張しないための5つの方法を解説していきます。
1.あえて悪い状況で練習をする
時々あえて悪い状況で練習する状況を作ります。
ジャグラーならたとえば
- 照明がまぶしい方をむいて練習する
- ウォーミングアップなしで演技を通す
1について、まぶしいとジャグリングがむずかしくなるので、普段ジャグラーは照明や太陽がまぶしくない方をむいて練習をします。
普段の技術練習ではそれでかまわないのですが、本番では沢山の舞台照明を受けながらジャグリングをしなければいけません。
ふだんからまぶしくない方だけをむいて練習をしていたら、本番でいきなり困難におちいります。
2について、ジャグラーは普通ウォーミングアップをしてから難しい技の練習をしたり、演技の練習をします。
そこで気持ちやからだの準備ができていない状態でいきなり演技練習をすることで、本番の緊張した気持ちやからだを想定した練習をすることができます。
本番ではステージ裏にジャグリングのウォーミングアップに十分な天井の高さがないこともよくあります。
そんなときにウォーミングアップなしでも自分の演技をした経験があると大きな助けになります。
ちなみにこのウォーミングアップとはジャグリングのウォーミングアップで、からだのウォーミングアップなど怪我の防止にひつようなことはしっかりやっておきましょう。
そのほかにも、あえて不快だったり疲れていたり、効率が悪いと思えるような状況で練習をしておくことは、本番で予想しないトラブルがあっても自分をささえてくれます。
逆にいつも快適な状況でしか練習をしていなければ、本番で予想していない状況があったら緊張に飲まれてしまいます。
そして本番ではいつも予想していないことがおこるものです。
いつも快適な状況ではなく、時にはあえて悪い状況で練習をしておきましょう。
2.失敗を想定して練習をしておく
演技の練習をするとき、いつも失敗をしない前提で練習をしていると、本番で失敗したときに素にもどってしまいます。
それをふせぐためにも普段から失敗を想定して練習をしましょう。
ジャグラーにとって失敗とは道具を落とす、ころがっていく、道具がからまるなどの状況があります。
ふだんの練習、とくに演技練習で失敗したときに無造作に道具をひろうのではなく、本番とおなじようにきれいなひろい方をしましょう。
予備の道具をどうやっておいておくか、どうやって受けとるかなども想定しておくこと。
ふだん失敗をした時に舌打ちをしたり顔をしかめたり、声をあげたりしながら練習しているひとが、本番でだけきれに格好よくふるまうことはできません。
かならず素がでます。
・失敗をしたらゆっくり演技にもどる
失敗をしたあとにありがちなのが、あわてて演技にもどってまた失敗をし、さらにあせって失敗の連鎖が起きてしまうという状況です。
それをさけるためには、予定していた技を1つ2つとばしても、呼吸をしながら道具をひろい、ゆっくり演技にもどることです。
これを普段から習慣にしておくことで、本番でもし失敗があってもワンクッションはさむことができます。
これについては本番でジャグリングのミスを減らす方法という記事に詳しく書いてあります。
3.ひとりの観客に演技をみてもらう
ときには数百人の観客よりも、たったひとりの友人や先輩にじっと見つめられるほうが緊張するものです。
本番のシミュレーションとして、観客をひとり見つけて演技をみてもらうことはとてもいいメンタルトレーニングです。
そのとき気をつけたいのは、演技を見てくれるようにたのんだら余計な雑談や事前の言いわけはせず、すぐに演技を見てもらうことです。
はじめる前の「まだ完璧じゃないんだけど」やドロップでの「もう一回やっていい?」とか、緊張からの逃げや言いわけはぜんぶナシ。
とにかく馴れあわない。
本番モードで、たとえ100回落としても演技を通しきりましょう。
ステージに登場するところから、最後あいさつをしてステージから完全に降りるところまで演じきります。
演者と観客、1対1の真剣勝負です。
僕も演技をつくっている時はこれをやります。1人、または少人数のグループに通しを見てもらう。
相手が練習を終えたタイミングなどに、「ちょっと演技をみてもらってもいい?」と聞いて、あとは余計なことは一切言わず演技をはじめる。
感想がほしいわけではなく、その緊張感がほしいのです。
僕が2015年にシルクドゥソレイユのオーディションをうける前、ベルリンで友人のヴァレリーに刀の演技を見てもらったことがあります。
それまで1度もノードロップで通せたことがなかったのですが、ヴァレリーの前での緊張と集中からか初めてノーミスで演技を通すことができました。
そしてそれが大きな自信になり、シルクドゥソレイユでのオーディションでもノードロップで演技ができました。
これは1人の観客に見てもらった結果です。
僕のおすすめのリハーサル方法です。
4.目のまえの一瞬に集中する
ジャグリングは演技の手数がおおいので、どうしても予想しないミスやドロップの可能性があります。
さらに演技にナンバーズや難しい技のコンビネーションなどを入れていると、その部分が演技をはじめる前からプレッシャーになってしまうこともあります。
本番でうまく7ボールを決められるだろうか、という具合です。
そして本番中に7ボールに意識がとらわれていると、いつも問題がないはずの3ボールなどで思わぬ失敗をしてしまうことにつながります。
大切なことはまず目の前の要素1つだけをしっかりおこなうこと。
演技全体や先のことを考えすぎるのはやめましょう。
すべてその瞬間、目の前にあることだけに集中する。
その集中が連続した結果が5分間の演技です。
詳しくは大事なステージでミスを抑えるためのメンタルコントロール②という記事に書いています。
5.緊張をうけいれる
むずかしい技をだいじなステージで演じるなら、はっきり言って緊張をなくすことはできません。
できることは緊張との向きあいかたを学ぶことです。
本番の経験がすくないと、緊張した時に
「どうしよう緊張してきた!落ち着かなきゃ」
と、緊張しているという事実にさらに緊張してしまいます。
リラックスしようとしても緊張はなくならないので、ますますあせります。
緊張がなくならないならできることはただ1つ、
緊張してしまう自分を受けいれることです。
緊張する自分が前提。
本番が近づいて緊張してきても、あ、またいつもみたいに緊張してきたな。と受けいれる。
緊張を受けいれれば、緊張をなくせないことでさらに緊張してしまうこともなくなります。
もちろん本番でこの緊張との向きあいかたをいきなり発揮することはできないので、普段からひとりの観客にみてもらう練習をしたりしながら、緊張との向きあいかたを身につけていきましょう。
・まとめ
人前で緊張しないためには、
- あえて悪い状況で練習をする
- 失敗を想定して練習をしておく
- ひとりの観客に演技をみてもらう
- 目のまえの一瞬に集中する
- 緊張をうけいれる
ことをふだんから経験しておきましょう。
緊張になれるには本番の経験をたくさん積むこと、というのはそのとおりです。
でも経験でしか身につかないと言ってしまうと経験がすくない人にとっては身もフタもありません。
本番の経験がすくなくても今回の5つの方法を学ぶことで、本番の状況を想定して経験を積むことができます。
人前や本番で緊張してしまう人はぜひためしてみてください。
かならず本番でのあなたの助けになります。